PDFをAIで要約したり、必要な情報を質問したりするとき、数字や条件が原文どおりに伝わるかは気になるところです。
2026年9月10日、Adobe Acrobatの「チャットによるPDF操作」と「ポッドキャストを生成」が日本語に対応しました。PDF AIの使い方が広がるなか、要約や回答の正確さも、ツールを選ぶ手がかりになります。
関連記事:Adobeの日本語版リリース発表。
本記事では、12のPDFファイルを使った検証結果をもとに、UPDF AIとAdobe AcrobatのAI アシスタント(以下、Acrobat AI)を比較します。要約に必要な情報が含まれているか、数値や条件を正しく読み取れているか、引用先で回答の根拠を確認できるかを、実際の回答を交えて解説します。

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PDF AIを比べる3つのポイント
比較の軸は、内容の正確さ・重要情報のカバー率・引用先との一致の3つです。数字が合っているか、必要な項目がそろっているか、示されたページで根拠を確認できるかを、それぞれ評価します。
特に引用は、ページ番号が付いていることと、そのページに答えの根拠があることを分けて確認します。PDFの先頭から数えたページと紙面のページ番号にずれがある場合も、対応関係を確かめたうえで判定しています。
検証に使ったPDFと比較方法
本記事は、英語のPDFを使って2026年9月に行われた、単一評価者による検証の日本語紹介です。両ツールに同じ資料と指示を与え、製品名を伏せた回答を、事前に用意した正答と照合しています。
| 比較条件 | 内容 |
|---|---|
| 使用バージョン | UPDF AI:デスクトップ版v2.5.6/Acrobat AI:デスクトップ版v2026.001.21789。いずれも検証時の有料個人向けプラン |
| 実施時期 | 2026年9月 |
| 実行環境 | MacBook Air 13インチ(M4、2025年)、メモリ16GB、macOS Tahoe 26.2 |
| 対象資料 | 英語のPDF 12点。公開資料10点とスキャン文書2点 |
| 課題の種類 | T1:5項目の要約/T2:根拠付きの質問回答/T3:表の抽出、複数ページの情報整理、スキャン文書の読み取りなど |
| 比較方法 | 同じ資料に同じ指示を入力し、回答を原文と照合 |
| 正答の準備 | ツールの出力を見る前に、根拠となるページと記述から正答を作成 |
| 採点 | 製品名を伏せて個々の情報を確認し、数値・単位・対象年・適用範囲を評価 |
使用した12のPDFは以下のとおりです。企業の年次報告書、研究論文、政策資料に加え、2つのスキャン文書が含まれます。
| 番号 | 資料名 | 種類 | 資料の区分 |
|---|---|---|---|
| 1 | Acuity RM Group plc — Annual Report 2024 | 年次報告書 | 公開資料 |
| 2 | Acuity RM Group plc — Annual Report 2023 | 年次報告書 | 公開資料 |
| 3 | Acuity RM Group plc — Annual Report 2022 | 年次報告書 | 公開資料 |
| 4 | Dietary Guidelines for Americans | ガイドライン | 公開資料 |
| 5 | Employee Choice Guide for IT | IT関連ガイド | 公開資料 |
| 6 | Transformative Service in Healthcare: Secondary Vulnerability and Coping Mechanisms in End-of-Life Care | 研究論文 | 公開資料 |
| 7 | Nudging University Students to Counselling and Mental Health Services | 研究論文 | 公開資料 |
| 8 | Assessment of Barriers to Accessing Mental Health Services in Rural or Remote Areas (scoping review) | 研究論文 | 公開資料 |
| 9 | 2026 National Defense Strategy | 政策・戦略資料 | 公開資料 |
| 10 | National Drug Control Strategy 2026 | 政策・戦略資料 | 公開資料 |
| 11 | Sample-PDF-3 | スキャン文書(OCR) | 検証用スキャン資料 |
| 12 | Scanned PDF Documents | スキャン文書(OCR) | 検証用スキャン資料 |
課題は、要約・根拠付きの質問回答・応用問題の3種類です。両ツールへの指示は同一にそろえています。以下は、検証で使った指示の日本語訳・要旨です。
- T1:要約
アップロードしたPDFだけを使い、重要な内容を5つの箇条書きにまとめる。数値、単位、期間、限定条件を残し、資料にない情報を加えない。 - T2:根拠付きの質問回答
質問への直接的な回答、根拠となるページ、短い原文の引用を示す。資料だけでは回答できない場合は、その旨を指定の文で返す。 - T3:応用問題
複数ページの情報整理、表の数値と単位の抽出、スキャン文書の読み取り、文書に答えがない質問への応答。課題に応じてページ番号や引用を求める。
各回答は、数字・単位・対象期間・適用範囲をひとまとまりとして照合しました。以下のスクリーンショットは実際の英語の回答で、本文に日本語で内容と比較ポイントを説明しています。
評価指標は6項目です。事実の正確性、重要情報のカバー率、原文に根拠のない情報の割合、引用の正確性、答えがない質問への指定形式での応答、採点可能な回答の生成率を集計しました。
条件の保持も評価対象です。「〜のみ」「最大」「約」「IFRS指標ではない」「未監査」といった表現が残っているかを確認しています。また、文書に答えがない質問を2問設け、情報の有無の判断と、指定された回答形式への対応を調べました。
UPDF AIとAcrobat AIの比較結果
以下は、原文で公表された集計結果です。割合は、各項目の分子と分母を合計して算出されています。
| 評価項目 | UPDF AI | Acrobat AI |
|---|---|---|
| 事実の正確性(指定単位の保持を含む) | 97.7%(507/519) | 95.5%(361/378) |
| 重要情報のカバー率 | 92.5%(124/134) | 95.5%(128/134) |
| 原文に根拠のない情報の割合 | 0.77%(4件) | 0.53%(2件) |
| 引用の正確性 | 66.7%(20/30) | 80.0%(20/25) |
| 答えがない質問への指定文のみの回答 | 2問中2問 | 2問中0問 |
| 採点可能な回答の生成率 | 100% | 100% |
数値の見方:「事実の正確性」には、指定単位を保つという条件も含まれます。同じ金額でも単位を換算すると不正解になる採点です。「カバー率」は必要な項目への言及率で、内容の正しさとは別に評価しています。
- UPDF AI:原文の採点基準では事実の正確性が97.7%。指定単位を残す抽出や、条件を保った回答で良い結果が見られました。
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- Acrobat AI:引用の正確性が80.0%、重要情報のカバー率が95.5%。参照先の提示と要点の選択に強みが見られました。
- 指定形式への対応:答えのない2問では、UPDF AIが指定文だけを返しました。Acrobat AIも情報がないことを認識しましたが、前置きが付いたため形式条件では不合格です。
引用の正確性は、提示された参照先を対象に集計したものです。最後の「生成率」は採点できる回答が返った割合で、回答がすべて正しかったという意味ではありません。次の具体例と合わせて、各数値を読み取ってください。
用途に合わせた選び方
| 重視する作業 | 見るポイント | 今回の検証で見られた特徴 |
|---|---|---|
| 条件付きの記述を要約する | 前提、適用範囲、限定表現の保持 | UPDF AIは条件を含めた回答で良い評価 |
| 表から数値を整理する | 数値・単位・年度と行列の対応 | UPDF AIは指定単位を保持。別の表ではAcrobat AIが正確に抽出 |
| 根拠付きで内容を共有する | 引用先が回答を裏付けているか | Acrobat AIは引用の正確性が高い結果 |
| スキャン文書から情報を取り出す | 文字の読み取りと指定項目の充足 | 期間の読み取りは両者とも正確。UPDF AIはページ番号も提示 |
| 決まった形式で回答を集める | 前置きや余分な文章の有無 | 答えのない2問ではUPDF AIが指定文だけを出力 |
UPDF AIの回答を確認:数値・条件・ページ情報
注目したいポイント
- 指定した単位や条件を残し、必要な情報を所定の形式で整理すること。
回答を見るときのポイント
- 数値と行列の対応、引用先が回答を裏付けているかを合わせて確認します。
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UPDF AIの回答では、表の単位を保つこと、要約に目標値を含めること、指定されたページ情報を添えることが確認できました。ここでは3つの課題を取り上げます。
F01:Acuity RM Groupの2024年版年次報告書/T3・表の抽出
課題は、貸借対照表の流動負債合計を「千ポンド単位(£’000)」で答えることでした。UPDF AIは2024年12月31日時点を1,985、2023年12月31日時点を1,738と回答し、指定の単位と年度の対応を保ったまま、PDFの32ページを示しました。

Acrobat AIは、同じ金額を2024年が1,985,000ポンド、2023年が1,738,000ポンドと回答しました。数値は等価で、ポンド単位に換算されています。

この課題でのUPDF AIの強みは、指定した単位のまま抽出できたことです。原文ではこの違いを厳格に採点し、UPDF AIを100%、Acrobat AIを0%としています。金額の読み違いではなく、出力単位の条件に差が出た例です。元の表と同じ形式でデータを整理したい場合に参考になります。
F10:National Drug Control Strategy 2026/T1・要約
この課題では、主要な内容と重要な数値を残すよう指示しています。Acrobat AIの回答は政策の方向性を中心にまとめており、原文の評価では、文書に記載された定量的な目標が要約に反映されていないと判定されました。

UPDF AIは、2024年の基準値79,384人と、2026年の目標71,630人、2029年の目標60,000人を要約に含めました。いずれも薬物過剰摂取による死亡者数に関する記載です。年度と数値を組み合わせて示したことで、何をどこまで改善する計画なのかが読み取れる要約になっています。

F11:スキャン文書/T3・期間の抽出
研究対象者の組み入れ期間とページ番号を尋ねたところ、UPDF AIは「2016年6月1日から2016年10月31日まで」と読み取り、1ページと回答しました。

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Acrobat AIも同じ期間を正しく読み取りましたが、求められたページ番号は回答に含めていませんでした。この例では、文字の読み取りは両者とも正確で、UPDF AIが指定された情報をそろえて返しました。

引用先と表の読み取りで差が出た例
F03:2022年版年次報告書/T2・根拠付きの質問回答
KCRの保有資産価値について、UPDF AIは390,000ポンドから305,000ポンドへ減少し、差額が85,000ポンドであることを回答しました。一方、提示したPDFの4ページと52ページは、評価者が確認した根拠の位置と一致していませんでした。Acrobat AIは必要な金額と、根拠にたどれる参照先を示しています。


F02:2023年版年次報告書/T3・表の抽出
別の表では、2022年の売上高「60(千ポンド)」を、UPDF AIが「1」と読み取った例もありました。Acrobat AIは正しいセルの値を返しています。表の評価では、単位の保持に加え、行・列と数値の対応も確認しています。


Acrobat AIの回答を確認:引用と要約
注目したいポイント
- 根拠となる参照先の提示と、主要な動きを整理する要約。
回答を見るときのポイント
- 指定された単位、条件、必要な数値が出力に含まれているかを確認します。
Acrobat AIは、今回の集計で引用の正確性が80.0%でした。回答の根拠を確認する課題や、事業の動きを整理する要約で、どのような出力になったかを見ていきます。
F03の質問回答では、両ツールが必要な金額を正しく示し、Acrobat AIは参照先でも良い評価を得ました。内容と出典を一緒に確認したい場合は、参考になる違いです。


F01の質問回答でも、内容は両者とも正確でした。Acrobat AIが示したページは、紙面のページ番号とPDFのページ順の対応を踏まえ、根拠をたどれる参照先と判定されています。


F02の要約では、Acrobat AIが事業の主要な動きをバランスよくまとめ、買収前から保有していた持分についても説明しました。UPDF AIは貸借対照表の詳細を多く含めましたが、買収対価の範囲の説明と、主要な事業上の動きのカバーに課題がありました。


要約は、情報量と情報の選び方を合わせて見ると違いが分かります。経営の全体像をつかみたい場合と、数字を細かく整理したい場合では、欲しい出力も変わります。今回の集計では、重要情報のカバー率はAcrobat AIが95.5%、UPDF AIが92.5%でした。
F10の複数ページにまたがる質問では、Acrobat AIの回答に原文と一致しない数値と引用文がありました。大麻使用障害に関する人数を770万人と示しましたが、検証記録では、資料に記載された数値との不一致が確認されています。

同じ質問に対して、UPDF AIは2024年の人数を2,060万人、米国の12歳以上の人口に占める割合を7.1%と回答しました。原文の評価では、資料にある数値と一致しています。この課題では、UPDF AIが人数・割合・対象年を組み合わせて正確に取り出しました。

資料に答えがない質問への対応
文書に記載されていない内容を尋ねた2問では、「The PDF does not contain this information.」という指定文だけを返すよう指示しています。日本語では「このPDFには、その情報が記載されていません」という意味です。
- F04:Dietary Guidelines for Americans/T3
資料に記載のない、健康な成人のカフェイン摂取量の上限を尋ねました。UPDF AIは指定文だけを返し、Acrobat AIも情報がないと回答しましたが、その前に確認中であることを示す一文が付きました。


- F08:地域のメンタルヘルスサービスに関するスコーピングレビュー/T3
この資料に掲載されていない統合オッズ比と95%信頼区間を尋ねました。両ツールとも未記載と判断し、UPDF AIは指定文だけ、Acrobat AIは前置きを添えて回答しています。


2問とも、両ツールは情報がないことを認識しています。UPDF AIは余計な文を加えずに答え、Acrobat AIは一言添えてから答えました。集計表の2/2と0/2は、この回答形式の判定です。情報の欠落を見抜くことと、決められた形式で返すことを分けて見ると、結果の意味が明確になります。
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両ツールが正確に回答できた例
F09:2026 National Defense Strategy/T2・質問回答
4つの主要な方針を尋ねた課題では、両ツールとも必要な項目を正確に列挙し、同等の評価でした。


F12:スキャンされた論文/T3・抽出
論文のタイトルと2名の著者名を取り出す課題でも、両ツールが正しく読み取っています。この2つの例では、求められた情報をどちらも取得できました。


料金プランと試用方法
利用を始める際は、PDF編集機能のプランと、AIの利用条件を合わせて確認すると選びやすくなります。日本向けの購入・試用方法を以下にまとめました。
| 確認項目 | UPDF | Adobe Acrobat |
|---|---|---|
| PDF本体のプラン | 日本向けの個人プランを見る。年額・買い切りなど、利用形態に合わせて選択 | 日本向けのAcrobatプランを見る。必要なPDF機能に合わせてサブスクリプションを選択 |
| AIの利用 | UPDF AIの機能を確認する。AI単体またはAIを含むプランの利用条件を確認 | AI アシスタントを含むプランを確認する。アドオンまたはAcrobat Studioなどから選択 |
| 試用 | AIの無料試用枠あり。質問数やファイル数などの条件は日本向けプランページに記載 | 対象プランの無料体験あり。期間と対象機能は日本向けプランページに記載 |
| 契約期間 | PDF本体の買い切りとAIの利用期間をそれぞれ確認 | 年間契約・月々契約と支払い方法を確認 |
UPDF本体の買い切りライセンスと、継続利用するAIの契約は分けて確認してください。料金を比べる場合は、利用したい機能、契約期間、支払い方法をそろえると、必要な費用を整理できます。日本向けの最新料金は、上記の公式ページで確認できます。
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比較結果を自分のPDF作業に活かすには
今回の比較は、Mac版での要約・質問回答・情報抽出・引用を対象としています。自分の作業に当てはめる際は、日ごろ扱う資料で「必要な項目がそろうか」「数値と条件を保てるか」「原文の該当箇所を確認できるか」を見ると、選ぶ基準が具体的になります。編集や変換などの機能は、利用するプランの内容と合わせて確認しましょう。
よくある質問
1. UPDF AIとAcrobat AIは、PDFの内容に基づいて回答しますか?
今回の検証では、両ツールが資料固有の金額やスキャン文書の日付を回答しています。回答を確認するときは、内容と根拠となる原文を合わせて見ると、必要な情報を取得できたか判断できます。
2. 重要情報のカバー率と、回答の正確性はどう違いますか?
カバー率は、必要な項目に言及した割合です。その説明が正しいかどうかは、事実の正確性で別に評価しています。今回の集計では、Acrobat AIはカバー率、UPDF AIは原文の採点基準による事実の正確性で高い値でした。
3. 文書に答えがない場合は、どのように回答しましたか?
対象の2問では、両ツールとも情報がないことを認識しました。UPDF AIは指定文だけを返し、Acrobat AIは前置きを加えています。集計の差は、指定された形式に従ったかどうかによるものです。
4. スキャンしたPDFの読み取りには、どちらが向いていますか?
今回のスキャン文書では、期間の読み取りは両者とも正確で、UPDF AIは指定されたページ番号も返しました。別の論文では、両者がタイトルと著者名を正しく抽出しています。文字の読み取りと、ページ情報などの出力条件を分けて比較すると、用途に合う結果を選べます。
まとめ:数字や条件を保って整理するならUPDF AIを試そう
12のPDFによる今回の比較では、UPDF AIは、原文の単位を保つ抽出や、目標値を含む要約、指定形式での回答に強みを示しました。Acrobat AIは、引用先の正確性と重要情報のカバー率で高い数値を記録しています。
数字や条件を残しながら、PDFの内容を使いやすく整理したい方は、UPDF AIを試してみてください。要点の把握から、気になる項目への追加質問まで、一つの資料を段階的に読み進められます。
まずは内容をよく知っているPDFを一つ開き、「重要な数値を、単位・対象期間・条件・ページ番号と一緒に一覧にしてください」と尋ねてみましょう。欲しい情報がどのようにまとまるかを、手元の資料で確かめられます。
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