ChatGPTに入力してはいけない情報は?退職の相談に、元上司の実名は不要です

退職の手続きは終わった。
でも、片付いていないことはまだあります。退職時の合意書に出てくる難しい言葉、面接で聞かれる「なぜ前職を辞めたのですか?」への答え、そして何度書き直してもしっくりこない転職の報告文。

日曜の夜、ソファに座ってChatGPTを開く。合意書のPDFを添付して「これ、どういう意味?」。上司とのSlackのやり取りを貼り付けて「角が立たない言い方にして」。便利です。ただ、そのとき前職の会社名や同僚の名前まで、一緒に送っていないでしょうか。

退職理由を相談するのに、元上司の実名まで同席させる必要はありません。文章なら名前や数字を置き換え、PDFやスクショなら共有前に必要な部分を処理しておきましょう。

その資料、前職の情報まで付いてきていませんか?

気を付けたいのは、いかにも「極秘」と書かれた資料だけではありません。手元にある、こんなファイルにも情報が残っています。

  • 退職に関する合意書や契約書:氏名、会社名、金額のほか、文書の内容自体が秘密保持の対象になっている場合があります。
  • メールやSlackのスクショ:相談したいのは本文でも、送信者名、顔写真、メールアドレス、顧客名、チャンネル名まで写っています。
  • 人事評価や給与に関する資料:上司の氏名、給与額、社内プロジェクト名などが含まれていることがあります。
  • 「実績紹介に使えるかも」と残しておいた業務資料:自分が作った資料でも、自由に共有できるとは限りません。秘密保持契約などで共有範囲が決まっている場合があります。

名前を消せば共有できる資料なのか、内容そのものを外部に出してはいけない資料なのかは、先に確認しておきましょう。資料を送らず、相談したい状況だけを自分の言葉で説明できるなら、そのほうが手軽です。

こうした貼り付けは、珍しい行動でもありません。LayerXの2025年の調査報告では、調査対象の従業員の77%が生成AIへデータを貼り付け、その貼り付けの82%が管理されていないアカウント経由だったと報告されています。日本の退職者全体を示す数字ではありませんが、ファイルの添付だけでなく、コピー&ペーストも確認したい操作です。

貼り付ける前に、名前と数字をひと工夫

面接での退職理由や、退職後の投稿文を相談するなら、ChatGPTに会社の正式名称まで教える必要はありません。まずは、具体的な情報を次のように置き換えます。

  • 会社名 → 「前職の会社」「以前勤めていた企業」
  • 上司や同僚の氏名 → 「直属の上司」「同じ部署の同僚」
  • 顧客名や案件名 → 「小売業の取引先」「社内システムの開発案件」
  • 正確な金額 → 「数百万円規模」など、相談に必要な範囲の概数

たとえば、「組織変更で担当業務が変わったことを、面接で前向きに説明したい」と伝えれば、上司とのやり取りを最初から最後まで送らなくても相談できます。

文章なら検索・置換が便利です。会社名の略称や氏名の別表記も確認しておきましょう。ここまでは比較的簡単。少しややこしいのが、PDFとスクショです。

黒い四角形を置いただけで、安心していませんか?

PDFの名前に黒い四角形を重ねると、見た目はきれいに隠れます。でも、図形を置いただけなら、動かしたり削除したりすれば下の名前がまた登場します。隠したはずの上司に、ここで再登場してもらう必要はありません。

共有用のファイルを作るときは、墨消しを適用するか、図形を重ねた後にフラット化して保存します。UPDFのデスクトップ版なら、どちらの方法にも対応しています。

以下はWindows・Mac版の手順です。原本は残し、共有用のコピーを作成しましょう。

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無料版で保存したファイルには透かしが入ります。透かしなしで保存するには、UPDF Proが必要です。

方法1:文字を含むPDFは「墨消し」で削除する

退職に関する合意書や人事評価など、文字を選択できるPDFには「墨消し」を使います。黒く覆って見えなくするだけでなく、指定した情報そのものを削除できる方法です。

  1. UPDFでPDFを開きます。処理するファイルを選び、「ツール」から「墨消し」を開いてください。
  2. 削除する部分を指定します。氏名、会社名、金額、文章など、取り除きたい箇所を選択します。
  3. 「適用」をクリックします。確認画面の内容を読み、処理を確定します。対象にマークを付けたら、適用まで行ってください。
  4. 「名前を付けて保存」で別のファイルとして保存します。原本と区別できるよう、共有用のファイル名を付けます。
UPDFでPDF内の文字を墨消しする操作例

墨消しを適用すると、対象の文字データが削除されます。保存したファイルを開き直し、対象の語句を検索したり、周囲の文章をコピーしたりして、処理できているか確認しましょう。

会社名が何十回も出てくるなら、一つずつ追いかける必要はありません。「検索と墨消し」で語句を入力し、該当箇所を確認してからまとめて適用できます。

UPDFで特定の語句を検索して墨消しする操作例

詳しい操作は、UPDFの墨消しガイドでも確認できます。

方法2:スクショは図形やステッカーで覆い、フラット化する

メールやSlackのスクショでは、氏名だけでなく、顔写真やアカウント名も隠したいことがあります。その場合は、画像をPDFにし、図形やステッカーで覆ってからフラット化して保存できます。

  1. スクショをPDFにします。UPDFのPDF作成機能で画像ファイルを選び、PDFとして開きます。
  2. 隠したい部分を覆います。注釈ツールの四角形やステッカーを使い、氏名、顔写真、メールアドレス、チャンネル名などを覆います。図形は透けない塗りつぶしにしてください。
  3. 「フラット化して保存」を選びます。保存メニューを開き、注釈をフラット化の対象にして、別名で保存します。フォームも固定したい場合は、フォームの項目も選びます。
UPDFで図形を使って情報を覆う操作例

フラット化すると、図形やステッカーがページに組み込まれ、注釈として選択・移動・削除できなくなります。

ただし、文字を選択できるPDFでは、覆った部分の文字データが残る場合があります。その場合は「墨消し」を使うか、フラット化した後に、保存メニューから画像ベースのPDFとして保存してください。

UPDFのフラット化保存と画像ベースのPDF保存のメニュー例

最後に保存したファイルを開き、隠したい箇所に漏れがないか確認します。ChatGPTに送るのは、この処理済みのコピーです。せっかく作ったのに原本を添付しないよう、ファイル名も分かりやすくしておきましょう。

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「あとでチャットを消せばいい」には、少し注意

相談が終わったら削除する。気持ちの上では、これですっきり片付きそうです。ただ、画面から消えることと、サービス側のデータがその場で消えることは同じではありません。

OpenAIの公式説明では、削除したチャットは原則として30日以内にシステムから削除されます。ただし、すでに匿名化されてアカウントとの関連がなくなっている場合や、セキュリティ上・法的な理由で保持が必要な場合には例外があります。ライブラリに保存されたファイルはチャットと別に管理されるため、チャットの削除だけでは削除されません。

一時チャットなどのデータ管理機能もありますが、一時チャットでも安全上の目的で最大30日間保持される場合があります。モデルの改善への利用と、データの保持は別の仕組みです。

あとで消すことを当てにするより、最初から実名や不要な情報を送らない。そのほうが、相談後に「あのファイル、大丈夫だったかな」と考えずに済みます。

相談したいのは次の一歩。前職の資料一式ではありません

面接での退職理由、職務経歴書、LinkedInや転職口コミサイトへの投稿。ChatGPTに手伝ってもらえることはあります。会社名や人物名を一般的な表現に置き換えても、多くの相談は進められます。

PDFやスクショが必要なら、UPDFで墨消しやフラット化を行い、共有用のコピーを作ってから使いましょう。次の仕事の準備に、前の職場の名前まで連れていく必要はありません。

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